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FIP(フィップ)制度とは?

更新日:3月5日

FITとの違いや制度導入の経緯と今後の展望についてまとめました。

FIPとは
 

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●FITからFIPへ

 温暖化対策について世界から遅れをとっている日本は、再生可能エネルギー(再エネ)の普及を促すための売電方法として、2012年に「FIT(フィット)」(固定価格買取)制度を導入しました。

「FIT」により日本の再エネによる発電の普及は拡大しましたが、電力会社が電気を買い取る費用の一部を「再エネ賦課金」として国民の電気料金に上乗せされるという問題が大きな議論となりました。賦課金は年々高くなり、2019年度の買取費用総額は3.6兆円、賦課金総額は2.4兆円となり国民の負担が増大してきています。

 そこで次に登場したのが、海外ではすでに導入されている「FIP」制度です。「FIP」は、50kW以上(高圧・特別高圧)の発電所を対象とした、国民負担(再エネ賦課金)をこれ以上増やさずに再エネを拡大する方法の1つとして、2022年4月に導入された制度です。

 しかしながら、「FIP」には賦課金で補う補助額(プレミアム)が付くため、導入したからといって直接的には賦課金の負担軽減にはなりません。 それならなぜ「FIP」は導入されたのでしょう?



●FITとFIPの違い

 FITの場合、再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスを意識する必要はありませんでした。しかし、今後再エネを主力電源としていくためには、火力などほかの電源と同じように、再エネも需要と供給のバランスなど電力市場の状況を踏まえた発電をおこない、自立した電源にしていく必要があります。 そこで、電力市場の価格と連動した発電をうながす段階的な措置として「FIP制度」を導入することが決まりました 。

 「FIT」が固定価格で買い取りされるのに対し、「FIP」は市場価格に連動して一定の補助額(プレミアム)が売電価格に付加されます。


Q.なぜ市場価格に連動させる必要があるのでしょうか?

A.再エネは天候や時間帯などで発電量の変動が大きいという性質があるので、電力の需給バランス(発電量と使用量のバランス)を取ることに課題がありました。


 つまり、必要のない時間帯の発電電力も国は固定価格「FIT」で買い取らなければならない状況でした。需給バランスと連動しない電力会社との取引(FIT)から、受給バランスで価格が変動する電力卸市場での取引(FIP)に転換することで、この問題を解決することができます。

FITとFIPの違い
出典:資源エネルギー庁

●FIPのメリット・デメリット

 「FIP」のメリットは、需要が高い時には「FIT」よりも高く売電することが可能となります。また、FITと異なり、電気の価値とは分離された非化石価値は発電事業者が保有し自由に販売することが可能です。しかし反対に、需要が低い時には売電単価が安くなる可能性があります。

また、「FIP」を運用するには、予め発電の計画値を報告する必要があり、実績が合致しなければインバランス料金というペナルティ料金が発生します。

ペナルティ料金を削減する手間や運用コストが発生するというデメリットもあります。


●FIPの収益

 「FIP」の収益はどのように決まっていくのでしょうか?

FIP収益 = (電気料金非化石価値) + プレミアム価格バランシングコスト

  • 電気料金・・・電力市場(JEPXのスポット市場)で売った収入です。

  • 非化石価値・・・電気料金とは別に環境価値は「非化石価値取引市場」で取引できます。

  • プレミアム価格・・・基準価格(≒FIT価格) ー 参照価格(昨年実績や当月の市場価格から算定

  • バランシングコスト・・・計画通り電気が創れなかった場合の「ペナルティ料金」、または「ペナルティ料金を削減する為の運用コスト」。


●FIPの今後の展望

 2050年までに再エネ普及率80%とする目標(カーボンニュートラル)を達成するには、今のうちから再エネを主電源としていかなくては到底実現できません。 そのためには、再エネを火力などほかの電源と同じように電力卸市場の状況に合わせた発電、すなわち「需要と供給のバランス」を保ち電力として自立させる必要があります。

 「FIP」は、今後再エネが他の電源とのコスト競争に打ち勝ち、自立した電源へと成長するための段階的な措置なのです。



 

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